先週の土曜日、あんまり天気がいいもんだから、
信州の諏訪湖までドライブ。
そして、そのついでといってはなんだけど、
そのお隣、岡谷市にあるイルフ童画館へも寄ってきました。
というのは、今を遡ること14年前、1998年に、
この童画館のステンドグラスを制作したことがあり、
久々見てみたくなったんです。
イルフ童画館は、
岡谷市が誇る童話作家”武井武雄”の作品を常設展示した絵本の美術館です。
武井武雄は、童画という言葉を創出し、あらゆる表現手段を使い、
芸術の域にまで高めた偉大な作家なのです。
本当に彼の描く&作る作品はどれも、明治生まれの方とは思えないほど、
斬新で独創的、素晴らしいの一言です。
さてその14年前のステンドグラス。
武井武雄は、”仁四郎の窓”という絵本の中で、
ステンドグラスを模した絵本を描いています。
それはただ絵として描かれただけではなく、
ステンドグラスの鉛線を樹脂で立体的に盛り上げ、
リアルな表現を目指した、とてもオリジナリティあふれた作品です。
ということで、
その”仁四郎の窓”の絵本を原画に忠実にステンドグラスで再現し、
常設展示の目玉にしようというプロジェクトが、
岡谷市と大手広告代理店D通の間で具体化し、
ウチに制作依頼がありました。
僕自身、その当時”武井武雄”の名前を知らず、
当初はプロジェクトの重要性も認識していませんでしたが、
関わっていくにつけ、大変な仕事だぞということが
だんだんわかっていきました。
そんな彼の描く原画をそのままステンドグラスに置き換えるのは、
言うのは簡単、でも実際なかなか大変で、
特に水彩絵具で描かれた色を、
アンティーク系でなく、オパール系のガラスだけで表現する
(人工照明での展示のため)のは、ずいぶん難しい作業でした。
試作したパネルを市の担当者やD通に見せ、
原画と違和感がないか確認してもらったり、
スタジオでの制作ぶりを見学していただいたり・・・。
また、細部の表現をどうするかスタッフと打合せ&試行錯誤し、
数ヶ月後、大変なピース数にめげることなく全7枚がなんとか完成!
そうして完成したステンドグラスを納品へ。
納品した日は童画館の建物竣工の数日前、
たまたま視察のため岡谷市長がいらっしゃってて、
僕らが挨拶をすると、
もし良ければ施工前にここでステンドグラスを見せてください、
ということになりました。
梱包を解き、1Fのフロアで一枚一枚お見せすると、
岡谷市長は「・・・・・素晴らしい・・・・」
と深くうなずきながらながら一言。
ぼくらもそれまでの苦労が報われ、
ホッとすると同時に、嬉しい晴れ晴れとした気持ちになったことを
今でも覚えています。
14年ぶりにそんなことを思い出し、
そんなことあったなあ・・・と感慨に耽りながら、
イルフ童画館を後にしたのでした・・・。
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