ガレのガラス器の文様は1889年パリ万博の頃から象徴的意味が主題をになうようになります。
トンボ、セミ、かげろうなど昆虫のモチーフの場合、たとえば「幼虫・さなぎ・成虫」と変化する
羽虫の一生はそれぞれ「生・死・復活」の象徴となっています。
「生・死・再生」への強い関心とあこがれは19世紀を生きる人々のこころに共通して
あるものでした。
この背景にはそれまでフランス芸術界でさかんだった印象派(目に映った印象のまま
風景、人物を描く画家たち)が1880年代後半だんだん、すたれてきて目に見えない
人間の内面世界を探求し、表現しようとする象徴主義の画家が活動するようになって
きたのです。
ガレにあっては終生の名作「ひとよ茸ランプ」において、もっとも具体的にその象徴化が
あらわされています。朽ち果て腐敗した樹木(屍体)を養分にして、一夜で成長する
「きのこ」のすがたは、死を経て復活する再生のシンボルであり、「大・中・小」の3本
のきのこを合わせたデザインは急速に成長し、変化してゆく生のエネルギーの
力強さを表現しているのです。
最初「ひとよ茸ランプ」を見たとき、すごいとはおもったのですが「きのこ」とは、なんか
辛気臭いなあと感じました。しかしそういう時代背景があったのでした。
0 件のコメント:
コメントを投稿