ガラスたちのおしゃべり : 株式会社十條 制作部/スタジオ グラシアムのスタッフブログ

2012年9月27日木曜日

エミール・ガレ

 ガレのガラス器の文様は1889年パリ万博の頃から象徴的意味が主題をになうようになります。

トンボ、セミ、かげろうなど昆虫のモチーフの場合、たとえば「幼虫・さなぎ・成虫」と変化する

羽虫の一生はそれぞれ「生・死・復活」の象徴となっています。

「生・死・再生」への強い関心とあこがれは19世紀を生きる人々のこころに共通して

あるものでした。

この背景にはそれまでフランス芸術界でさかんだった印象派(目に映った印象のまま

風景、人物を描く画家たち)が1880年代後半だんだん、すたれてきて目に見えない

人間の内面世界を探求し、表現しようとする象徴主義の画家が活動するようになって

きたのです。

ガレにあっては終生の名作「ひとよ茸ランプ」において、もっとも具体的にその象徴化が

あらわされています。朽ち果て腐敗した樹木(屍体)を養分にして、一夜で成長する

「きのこ」のすがたは、死を経て復活する再生のシンボルであり、「大・中・小」の3本

のきのこを合わせたデザインは急速に成長し、変化してゆく生のエネルギーの

力強さを表現しているのです。

最初「ひとよ茸ランプ」を見たとき、すごいとはおもったのですが「きのこ」とは、なんか

辛気臭いなあと感じました。しかしそういう時代背景があったのでした。

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