ガラスたちのおしゃべり : 株式会社十條 制作部/スタジオ グラシアムのスタッフブログ

2012年6月7日木曜日

旧作回顧1



スティップルです。



今回から、グラシアムが以前に制作した物件を時々ピックアップし、

簡単な解説をしてみたいと思います。



まず第一回は、飛騨地方の某施設のステンドグラス工事。

30m×1.5mが2ヶ所、計90㎡の大型物件。

デザインの打合せのため片道3時間半、

往復7時間の道のりを約2年以上、隔週で通いました。



キャストガラスとステンドグラスを組み合わせ、

キャストガラスには、砂の遺跡のような浮かんでは消えていく古代マヤ文字を、

ステンドグラスには、過去から未来へ移る様をデザインしています。



古代マヤ文字は大学の著名な教授をも巻き込み、

実際に意味の通るように文章を監修していただいています。



そんなデザインの打合せが2年、、煮詰めて煮詰めてようやく決定。

制作に入るとまず問題になったのは、そのキャストガラス。



キャストガラスは、1.5m×0.5mが80枚。

全て模様が異なり、マヤ文字が複雑に入り組んでる・・・。

うちのフュージング用の釜で焼成できるものではなく、

全国の専門工房を手当たり次第当たってみる。



幸いやってくれそうなところを見つけ出し、

その担当の人とぼくとでいろいろ試行錯誤をするものの、

ステンドグラスに組み込めるようにシビアな寸法・厚みで作れるのか、

これほどの枚数を限られた時間で本当に仕上げられるのか?

問題満載・・・。



でもなんとか問題を一つ一つクリアし、パネルはようやく完成。



そしてついに取付。



取付メンバーは、グラシアムからぼくスティップルをチーフに5人。

人員が足りず、現在副社長のO氏、

卸部のチーフで輸入担当のM氏まで駆り出されるはめに(^_^;)。

他に協力工房の3人、コーキング要員で専門の2人。

元請け会社の管理者1人の計11人体制。



10mのローリングタワーに4枚ずつステンドグラスを乗せては動かし、

その度に登って降りての繰り返し。

信じられない程だだっ広い吹抜空間の真ん中でローリングタワーに登ると、

支えのない不安な状態に、背中に何度か冷や汗が流れるのを感じる・・・。







取付期間は確か6日間。


3日ほどすると11人も必要でなくなり、

アシストの人が一人また一人名古屋へ帰っていく。

5日も過ぎ最終日にはついにぼく一人・・・。



全ての作業を終了し、最後にその巨大な吹抜空間を見渡しながら、

ほっと安堵の息をもらすも、一抹の寂しさを感じました。



1996年の仕事だということは、もう16年も経ったんですね。




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